こんにちは。ケンです。
本日は、建築設計というビジネスモデルについてお話してみたいと思います。
と言っても私は建築設計者という立場で普段考えていること思うままに書いたレベルなので、気楽に読んでもらったら嬉しいです。
建築設計というビジネスモデルについて
ビジネスモデルというと大げさかも知れません。通常、建物を建てたいとい事業主に対して、設計者はその業務を受注して設計を行います。商品を開発して販売する業態と違い、プロジェクト毎に敷地やコストや法規など条件を読み取り、最適な計画を模索することになります。設計者としては、条件が違うからこそ新しい提案ができる面白味があるのですが、ビジネスモデルとしてはとんでもなく非効率だし、設計料の単価を高くしない限り採算性は悪いすよね。
設計料をもらうためには、建築を建てたいという事業主に設計者として選定してもらう必要があります。事業主は、公共(国、県、市など)と民間(企業や個人)のおおきくは2種類に分類できます。特命で受注できることが理想ですが、公共発注では設計者選定の公平性を担保するため、コンペやプロポーザルコンペが実施され、受注を巡って競合の設計者と提案内容などでしのぎを削ることになります。また、事業期間が短かったり、入札で不調(入札金額が予算を超えてしまう)を懸念するなどの理由から、PFIやDB(デザインビルド)等も行う行政も増えて来ています。私自身、PFIやDBのプロジェクトに参画したことがありますが、社内スタッフだけではなく、ゼネコンや運営企業との折衝・調整に相当の労力が必要になるため、特に経験の浅い設計者には負担が大きい制度だと感じています。最終的に受注できれば良いですが、受注に失敗した場合、提案作業はほぼ無駄に終わってしまいます。勝つためには、他の設計者と差別化するために付加価値をつけることが必要になります。その要素は様々ですが、大きくは以下の3点に分類されるように思います。
①デザイン力(広義での)
②個人間・企業間等のつながり
③特定の分野での知識・経験・実績
一般的にコンペやプロポというと、プランニングや建物のかたちなどで決定するイメージがあると思います。それらも非常に大事な要素であることは間違いありませんが、人脈やそこから得られる情報、設計事務所の実績なども勝敗の要因になります。あと、設計料が審査で高く評価されることもあり、建物のデザイン以外のところで勝敗が決まることが多いのが実態です。明らかに自分達の案より見劣りする案が採用されることがあり残念に思うことがありますが、それも審査基準や評価項目が必ずしも良い提案を求めているだけではない限り、やむを得ないですよね。あるプロジェクトで事業者側の方と話をしている際に、類似プロジェクトを設計した実績の多い設計事務所と少ない設計事務所があれば、後者を選定することに合理性はない!とはっきり言われたことがあります。つまり経験の少ない設計事務所が参入する際にはレッドオーシャンであり、まずは勝負の土俵に上がるためには、経験豊富な人と共同設計とするとか、他の部分で強みをつけて勝負するなどの戦術が必要になります。
建築の設計の世界は外部の人にはどのように見えるのでしょうか?
最近、国立競技場の設計で話題になった建築家 隈研吾さんなどの活躍をメディアで取り上げられることが多く華やかで、かっこよいイメージがあるかも知れません。実は、受注するまでにあの手この手で戦略を巡らし、受注後は設計・施工、さらには長期的な修繕まで、コツコツと事業主、行政、施工者、社内スタッフなどと調整を繰り返すという地味で忍耐のいる作業が続きます。最後の完成した後に見える風景をイメージしながら、高い山に登る感じでしょうか(笑)。ややどんよりとした話が続きましたが、私自身は建築の設計がやっぱり好きですし、これからも続けて行きたいと感じています。だからこそ、自分達が楽しくモチベーション高く進めるやり方を見つけたいと考えています。
私が考える建築設計のビジネスモデル
私自身が携わったプロジェクトでクライアントから、「私達は自分達が楽しむための建築の設計をお願いしているのだから、楽しみながら設計をしてくださいね!」と言われたことがありました。それまでも楽しく設計していましたが、よりそれを強く意識するようになりました。また、社内スタッフや施工者の皆さんにもそれを伝え続けました。面白いことに楽しそうなことには人は前向きに取り組めるものです。楽しいことは決して楽ではないですが、建物がうまく完成したらメチャクチャ楽しそう、かっこいい、何でも良いので同じベクトルに向かって力を合わせることでより、想いの詰まった建築に昇華できると感じました。
建築の設計者が建築ができるまでの仕組みづくりや、できる建築の価値を提案し、それに共感してもらえる人や企業に事業者になってもらい一緒に建築をつくるスタイルを確立できないかと現在妄想しています。敢えて妄想としたのは、まだ実現できたプロジェクトがないからです。コロナ禍になる前まで動いていたけど、現在止まっているプロジェクトがあります。さらに、新しく火を点けて行こうとしているプロジェクトが2つあります。建築や建築の設計者がもつ価値を信じ、これからも挑戦して行こうと思っています。まだぼんやりした話で申し訳ないですが、具体的な事例は徐々に展開して行きたいと思います!
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