こんにちは。ケンチクシのケンです。
コロナ禍のなか、働く場所や生活する場所を人が少ない田舎町に移ってもいいのかなとぼんやり考えている人も多いのではないでしょうか?田舎の生活を豊かにするための要素はいろいろありますが、実はそこには建築も非常に大切だと常々感じています。そんな話をしてみたいと思います。
都会と田舎の良さを享受する生き方
都会で働く多くのサラリーマンは、満員電車で都心の職場まで通勤し、深夜まで社畜のように働く。そんな生活が当たり前だと思っていた時代から、この数年で一気に変わりつつありますよね。必要に迫られてテレワークで仕事をするうちに、だったら別に田舎で生活し、働いてもいいのではと思えてきます。
でも、なかなか思い切って環境を変えられない。そんな人も多いのではないでしょうか。
大勢の人が集まる都会には、それだけの理由があり、魅力があります。交通や情報が発達した現代人はその両方の良さを享受できる!
人が集まる都会の良さはわかるけど、田舎町の良さって何なのと思われる方も多いと思います。
田舎の良さとは?
過疎化した日本の田舎町を世界から人が訪問したくなる魅力的な場所にできないか?
自然は美しい!食べ物はうまいし、空気もうまい!人も優しい!なのになぜ人が集まらないのか?
香川県の三豊市というまちを、うどんづくりの体験と宿泊のサービス提供と「日本のウユニ塩湖」をつくることで広めた方に、日本の田舎を活性化すっるための秘訣を聞いたところ以下の3点を挙げられました。香川県 父母が浜
1.おいしい食材があること。 2.おいしい食材を調理できる人がいること。 3.まちを活性化させよう!と強い信念を持ちみんなを巻き込む地元のキーマンがいること。
日本の田舎には、どんなところに行っても必ず一つや二つはおいしい食材はあるとのこと。田舎を活性化するためには2と3に該当する人が必要で、特に3が大事だということでした。確かにそもそも地元の人に意欲がないとか、排他的な感情を剥き出しにされては話が進まないですよね。一方で、田舎を魅力あるまちにするためには、ただ単によそのまちの成功事例を再現するのではなく、そのまちのアイデンティティを尊重し、その魅力を引き立たせる、あるいは発掘することが必要です。
建築学生が行く世界の田舎
建築を学ぶ学生の多くは話題の建築や興味関心のある建築を見るために海外に出掛けます。建築の形やデザインだけであれば、写真や動画、図面などから日本でも学ぶことができますが、建築がまとう空間感、温度、湿度、音、匂いなどと共に、その建築が持つ空間を肌で体感するためです。
また、その建築が成立した歴史や文化などのコンテクストは街を歩くだけは学ぶことができないため書籍などからインプットする必要がありますが、その建物が建つ街の人と実際に対話してみてたり、現地の食べ物を食べてみることも、現地を訪れる大きな意義になります。
建築雑誌やネットで見た建築を実際に見ることで、その国の文化や風土にあった建築に身を置いただけで、鳥肌が立つほど感動する建築があるものです。
日本にもお寺や神社や白川郷など、歴史と密接に関わる魅力的な建築ありますが、では現代建築で魅力的な建築があるかというとまだまだ少ないと思っています。
でも、海外には田舎町にも人を魅了し、足を運ぶ価値がある現代建築が多いです。
建築を大学で学んだ人は、ほぼほぼ知っている建築として、スイス人建築家 ピーターズント―が設計した”ヴァルスの温浴施設”があります。
ヴァルスに行くためにはスイスの田舎町まで電車で向かい、その先は断崖絶壁バスに乗り換える必要があります。どのバスに乗ったらいいかわからなくて悩んでいると、ひとつのバスの運転主に何やら呼ばれたと思うと、「ヴァルスの温浴施設に行きたいならこのバスに乗ってください。」と日本語で書かれたプレートを見せられました。スイスのとんでもない田舎まちで、そこからバスで断崖絶壁のようなルートを走る必要があるのですが、いかに多くの日本人がこの保養所を訪れたかがわあって頂けたらと思います。
私は新婚旅行でこの保養所を訪れましたが、前日に旅行疲れで体調を崩した妻に、どうしてもそんな山奥に行く必要があるのかと嘆願されました。私は、ピーターズント―が設計した客室を日本から予約していためため、何としても行きたいというか行くべきであることを熱弁し、半分呆れられながらも説得し向かうことができました。ホテルに到着し、部屋に入るや否や妻は一気にご機嫌になりました。客室のデザイン性の高さ、窓から見える景色の雄大さ、保養所とはこうあるべきだと、納得させられる空間でした。
しばらくバルコニーのリクライニングチェアで休憩したのち、新婚旅行で最も訪れたかったスパに向かいました。この空間は体験しないとわからないと思いますが、妻も私もその空間に身を置いただけで、鳥肌が立ちました。ご興味がある方はぜひ体験してみて下さい!
私は、この保養所へまたいつか必ず来たい、そしてぜひ両親も連れて来たいと初めて思いました。建築の設計を行う者として、一番大切な人を連れて行きたいと思う建築を設計することが何よりも価値が高いのではないかとその時痛感することになります。それ以来、私はそんな設計を目指すことになりました。それも田舎まちで。
建築で私の故郷である田舎を魅力的な場所にする!
ヴァルスでの体験をしてからは、私は日本の田舎で建築を設計するチャンスがある度に、一番大切な人を連れて来たいと一人でも多くの人に思ってもらえる建築をつくりたいと考え続けています。そんな時に、和歌山の田舎まちでそれなりの建築を設計することができました。その建築の詳細や設計に至るまでのプロセスはまた別の機会でご紹介したいと思います。その経験を今度は自分の故郷でも活かしたいと考えるようになりました。故郷であることを活かし、人伝いで市長と面会し、自分の想いを伝え、さらに地元のキーマンを紹介してもらうことができました。そこからはとんとん拍子に話が進み、山間にホテルを設計するスキームを組むまで組むことができました。かなり良い線まで行ったところでコロナ禍が始まり、暗黙の了解で一旦休止へ。先の読めない中、2021年10月から日本もやっと復調の兆しが見えて来ました!再び夢の実現に向けてスタートします!こちらも詳細はまた別の投稿でご紹介します!ぜひご期待下さいね!
では、最後も読んで頂いて感謝、感謝!
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