挑戦し続けることで世界は広がるか?【結論:広がります!】

クライアントに学ぶ

こんにちは。ケンチクシのケンです。

小さい頃から、夢はあきらめにず挑戦し続ける大切さを聞いて来たという方が多いと思います。

夢に向かって挑戦したけど途中で挫折したり、最初っからあきらめてしまう人もいるのではないでしょうか。最近の若い人は、みんなそれなりの成果で満足して、大きな野望を抱かない、なんて話も聞いたりしますよね。

だからこそ、挑戦できる人は特別な存在として際立つし、挑戦する人のストーリーは人を惹きつけるのだと思います。

建築のクライアント(特に個人事業主)は、大きなお金を投じて、事業を進めようとされているわけですが、見方を変えると、夢の実現に向けて挑戦し、さらなら飛躍を目指そうとされていると言えます。実際に私のような普通のサラリーマンと違い、自分のやりたいことに人生を掛けて真剣に戦われているという方が多く、人間力というこういうことかと気づかせて頂いた方が何人かいらっしゃいます。

今回は、ファッションで日本を盛り上げたいという夢を持つアパレル系商社を経営されるご夫妻の話をしたいと思います。

建築の設計依頼は、銀行さんの紹介から始まりました。ある田舎町に、アパレル系商社が倉庫とその会社の保養所を建てたいとのことで、1ヶ月後に施主に提案して欲しいというものでした。倉庫はイメージできるけど、保養所については社員が会食やプールで泳いで遊んで、泊まれる施設くらいのざっくりとした条件しかなく、1ヶ月間本当に悩みました。

知識のない業界のクライアントへの提案

そもそもアパレル業界には、仕事でもプライベートでもなじみのない分野ですし、ましてや提案相手のクライアントに直接会っていないのでどんな人かもわかりません。幸いなことに奥様がTwitterをやられていたいので、2年分くらいチェックし1ヶ月後を迎えました。

その時私の出した提案は、1階に倉庫を設け、2階は社員やVIP客をもてなしながら、社長ご夫妻も楽しめるための保養機能を設ける構成としました。この2階部分は、会食や宿泊ができる室にこの字型に囲まれた広い屋外デッキがあり、その先にはインフィニティプールを設けました。

この提案の最も大事な点は、田舎町の青い空と緑の中でランウェイができる空間を設けたことです。

ランウェイという言葉の意味は、皆さんもご存じのようにファッションショーの舞台を示しますが、もう一つ飛行機の滑走路という意味があります。世界のファッションを扱うクライアントが、仲間と楽しむために降り立つ滑走路であり、鋭気を高め再び世界に飛び立つための滑走路という、意味を込め提案しました。結果としては、クライアントに受け入れて頂き、具体的に設計を進めることになりました。少し前置きが長くなってしまいましたが、このご夫妻と接する中で設計者として、一人の人間として色んなことを学ばせて頂きました。

クライアントから学んだこと

 この時のクラインアントから強烈に学ばせて頂いたことは以下の3つです。

 これを実践することで人生がドラマチックで躍動感をあるものになるのだと設計を通じて体験する  ことになりました。

 ①なにごとも躊躇しない。

 ②バイアスを破る。

 ③楽しみながら継続する。

①なにごとも躊躇しない。

ファッション業界の最も華やかな舞台であるランウェイを提案した私ですが、テレビで見て何となく知っている程度で、本物の舞台がどんな場所で、観客の流れやモデルがどこから出て来るのか、裏側がどうなっているのか、どんな設備が必要なのか、何も知りませんでした。どこかで本物を見て、裏側も見ることができないかと聞いたところ、代理店契約をしているブランドのランウェイと裏側が見れるので、ミラノまで来て欲しいとお誘いを受けました。まだ設計の契約も交わせてないにも関わらず、3回目の打合せはミラノでした。

普通では考えられない話の展開に、この時はさすがに驚きましたが世界最先端のファッションを相手にビジネスを展開されるクラインアントは、これと決めたら躊躇はありません。実際、ミラノでデザイナーと対話しているところも見せてもらいましたが、そこには日本人特有の奥ゆかしさや、控え目は姿勢はなく、前のめりで本気で対峙している姿がデザインナーの心にも刺さるのだと感じました。

②バイアスを破る。

相手がどんな有名人であっても、偉い方であっても、自分が心から求めることであれば真剣に接しておられました。当然、私の設計に対しても先入観に捕らわれず思ったことを素直にぶつけてこられます。奥様から言われた言葉で強烈に印象に残ったものがあります。それは屋上の防水の納まりと見た目のデザインを天秤に掛け、どちらを優先すべきか悩んでいた時のことでした。

『雨漏りを気にして性もないデザインにしないでね。私はあなたの設計に雨漏りをしない建物を求めているわけではないから。』

私の設計を気に入って下さっているのは正直うれしかったですが、こんなことを言ってくるクライアントは後にも先にもいません。倉庫には多い時には数億円もの商品が保管されています。当然、雨漏りが許されるわけではないですが、施主のデザインに対する真剣さが伝わって来る言葉でした。常識を覆す発言や行動が、人の心をつかみ、想像を超える結果を生むシーンをほかでも体験させてもらいました。

③楽しみながら継続する。

大好きなファッションの世界で仕事されていることを楽しまれていましたが、建築の設計でお世話になっている期間も色々とトラブルも乗り越えられていました。また、お二人とも気の合う仲間と楽しむのが大好きで、遊ぶ時は大学生のよりもはっちゃけられてました(笑)そんなクライアントから言われた言葉で、これまた印象に残った言葉があります。

『私達が楽しむための場所を設計してもらうのだから、設計も楽しみながらやってね。』

建物の用途も珍しく面白かったので、本当に楽しみながらやっていましたが、もちろん大変な時も多々ありました。楽しいことと、楽なことはイコールではありませんよね。そもそも建築の設計で楽だったことは一度もありません(笑)クライアントのご夫婦は全力で仕事をし、次から次えと新しい境地を開拓されることを楽しまれていました。

 

以上の3点は、これから私が建築設計行う上でも、生きて行く上でも見習いたい点です。

またまた、単なるエピソードトークになってしまいましたが、最後まで読んで下さった方がいらっしゃったらありがとうございます。何かコメントを頂けたらなおうれしいです。

 

 

 

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