ケンチクシのケンです。
今日は図書館のことを考えてみたいと思います。ここでは日本全国にある公立図書館を対象とします。
皆さんは図書館に利用していますか?学生時代は利用していたけど社会人になってからは全然という方も多いのでは?私の職場でも利用している人はあまり聞きません。
図書館っているの?
現代社会において図書館の意義ってなに?将来的にどうなって行くの?今後図書館という建築はいるの?
これは私が図書館の設計に関わろうとした際の素朴な疑問です。(実際は設計できてません!)私自身は学生のころは余程用事がない限り図書館に行くことはありませんでした。社会人になって自分の知識不足を痛感し、本を読んで色々学ぼうと思った時に、どんな本を読んだらいいかわかるず、試し読みする感覚でちょくちょく図書館を利用するようになりました。なんてたって無料というのは大きい!1ページも読まず返却日を迎えることもざらにありますが、本を読むチャンスは格段に上がり、ツボにはまれば読みます。
また、自分の反省を踏まえて子供にはとにかく本を読ませようと、小さい頃から定期的に図書館を訪れ、当たり前のように本を読む習慣をつけさせました。(親のエゴかも⁉)おかげで我が子は私の幼少期とは比べものにならないくらい本を読みます。(もちろん母親の献身的な読み聞かせの功績も大きいですが・・・。)
なので私や私の家族は図書館に親しみがあり、生活に不可欠な存在です。
図書館の弱点!
私にとっては必要な書館ですが、いくつか弱点があります。
①読みたい時に読めない。特に人気の新書は予約が殺到してなかなか読めない。
読みたい本を読みたいタイミングで読めないというのは、時間が限られた特に社会人にとっては最大の弱点だと言えます。私の住む市の図書館は、話題の書籍は多い時では10冊ほど購入されますが、出遅れてしまうと1年くらい待たされることがあります。必要な時に読む機会を失った本は、一生読まない本になるかも知れません。特に今は電子書籍もあるので、特殊な本でない限り即座に読むことができます。その差は大きいですよね。
②借り物なので、線を引いたり、文字を書いたりできない。
個人差はありますが、読書家でも本は汚して当たり前と思っている人が多いのではないでしょうか。時代は進めど本自体の価値は変わらず高いです。自分以外の人の経験や考えをわずかなお金で垣間見ることができるというのは、著者が費やした時間を買うことも含まれたおり、非常にコスパの高いものだと思います。できるだけ本から得られる人生の糧やヒントを吸収するため、本から情報を引き出しやすい状態にしておきたい。そのためにもきれいなままの姿より、大事な部分にチェックを入れたいですね。
③紙を使った媒体だと基本的にはどんどん増えて行く。
紙媒体の本だと捨てない限り所有する本の数は右肩上がりにどんどん増えて行きます。よく図書館の規模を図る上で蔵書数を使います。私達のように図書館を設計する側からすると、計画する規模を想定する上で重要な目安となります。蔵書数のうち、まずは開架書庫と閉架書庫で分け、開架書庫でもさらにジャンルごとに分けたりして各エリアのスペースを配分して行きます。当然ながら図書館には物理的なキャパがあります。蔵書数が10万冊の図書館は、どの本を入れて、どの本を出していくか難しいようです。社会的にはどんどんデジタル化が進む中、場所の制約を受ける紙媒体からどのようにシフトして行くのかが図書館の課題ですね。
これからの図書館はどうなって行くのか?
専門化の中では既に議論されているのかも知れないですが、多くの本はデジタルのサービスへ移行して行くことはほぼ間違いのないことでしょう。現在も設備的な制約がありすぐに移行しませんが、近い将来きっと変わって行くことでしょう。ただし、媒体が変わることで以下のシフトが発生するものと私は予測します。
①サービススピードの向上
デジタル化することで紙媒体のように物理的な冊数に制限がなくなるため、新書でも大量に貸し出しすることが可能になります。そもそも図書館の成り立ちとしては、金銭的に貧しく本を自由に買えない人達にも平等に本を読む機会を提供することが前提にあるので良いことですが、図書館で大量に貸し出しされることで本の売り上げは激減し、著者の執筆意欲を喪失させてしまう恐れがありますよね。そこは貸し出し数に応じ、出版社や著者へ報酬が流れるシステムが構築されるべきだと思います。その報酬がどこから出るのか?行政なのか、企業からの広告料なのかはわかりませんが、図書館利用者のメリットは格段に向上します。
②本選定の多様化
Kindleなどでunlimitedのサブスク会員になると、月々の料金を払うことで新書など自由に読むことができますが、①のようなシステムができてしまうと、図書館では全て無料で提供されることになってしまいます。これは明らかに矛盾というか、行政サービスの行き過ぎを生みますよね。つまり①は現状では出版社や著者だけでなく、kindleやamazonなどのサービスを侵害する恐れがあるため成り立たないことになってしまいます。なんだか雲行きが怪しくなって来ました。
③図書館という場所は不要?
本がデジタル化されることで、何万冊の蔵書を抱えたところで、巨大な箱は必要なくなってしまいます。本としての希少性が高いものは残す必要がありますが、そんな本は一般的な公共図書館で所蔵されるより博物館に納められるべきですね。とすると通常の本はサーバーの中に納まってしまいます。つまり図書館はサーバー置き場のみ必要で、いつ読まれるかもわからない大量の本が並べられた図書館は現実の世界からはなくなり、レトロな風景としてデジタル化された図書館に存在することになります。
公共図書館の行く末は??
とここまで長々と書いて来ましたが、これまでの図書館という存在はほぼ間違いなく必要なくなります。となると日本全国にある公共図書館の行く末は、大きくは次の2点で、いつの間にか消滅してしまうか、その存在価値が変わって行くかの2点になります。私は後者だと考えます。人が肉体を持っている限り、物理的な場所性を失うことはないと考えます。また、本を読むだけでは得ることができない、体験の場を提供する存在になると考えます。つまりは図書館という場所は、本を元にして体験する場、あるいは体験を通して本に触れる場になると考えます。モノで満たされた現代では、モノの価値よりコトの価値がより重要しされる時代になった時、私達建築設計者の出番はより体験を充実させた空間づくりにシフトして行くことになるでしょう。まだ見ぬ空間ができると思うと、ワクワクします!しかもそれは案外近い将来になるはずです。そんな時代が来た時にこのブログの価値は初めて理解されるかも知れませんし、全く的外れな展開かも知れませんね(笑)!
今回もいかがだったでしょうか?本にあまり興味がない人にはピンと来なかったかも知れませんが、色々想像しブログに書くことは自由だし楽しい!これからも建築的思考を書いて行きたいと思います。数少ない読者の皆さん、頑張りますのでこれからもよろしく!!
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